そして年が明けて弥生の四日に、麗景殿様も出産なさいました。
予定より二カ月も遅かったのに世間で何の疑いも持たないのが不思議ですらあります。
麗景殿様の御子も男子であった事から、帝は、女御の一の御子と中宮の二の御子のどちらを東宮におつけになるのかという事が当然話題に上ります。
それは即ち、左右の大臣のどちらが次世代の権力を握るかという事になるのです。
本当は迷う事無く一の御子が東宮におなりになるべきなのですが…真実は隠されておりますから…。
宮様はもう殿をお諫めになるような事は無く、ただ目を光らせて殿に無言の圧力をかけていらっしゃいました。

