平安物語=短編集=【完】




何とも居心地の悪い状態で宴が終わり、私は立ち上がりました。

ご挨拶をして帰ろうとした時、敏感な私の耳は帝のお声を捉えました。


「宮、今宵は清涼殿に。」


心臓を鷲掴みにされたように感じました。

いつも私を「女御」とお呼びになる帝が、中宮様のことは打ち解けて「宮」とお呼びになる。

そしてその「宮」様を、今、夜の御殿にお召しになった…