しかしそれからたった数日後、東の方は御難産がたたってはかなく亡くなってしまわれたのです。
東の対が大変な大騒ぎで何が何だかよく分からずにさらに数日が過ぎてから、宮様にお手紙が届けられました。
それをお手に取って読まれるや否や、人目も憚られずにわっとお泣きになったのです。
驚いて近付いた私に、そのお手紙を渡してくださいました。
『この若君のご誕生は本当に嬉しく思います。
どうやら私はもう長くは生きられそうもございませんので、あなた様にはどうか、この若君を疎ましく無礼な女の息子だとお疎みにならず、人並みにお扱い頂けましたらと存じます。
いたづらにふりける雨は
ひたすらに
残る若葉の先をのみ思ふ
あなかしこ』
その筆跡は本当にはかなく頼りなげで、苦しい息の下で書いたのだろうと思われます。
それでも直筆で書く程、東の方は宮様を大切に思っていらしたのです。
宮様は、ただただ涙に咽んでいらっしゃいました。

