大君の女御様の御子を三の宮と申し上げるのですが、三の宮の御誕生にかこつけて殿が行動を起こされました。
「この度は登華殿女御に御子がお生まれになりまして、私としましては本当に嬉しく日々楽しくて仕方ないのですが、やはり東宮様にこそ男御子がお生まれになるべきと存じます。
畏れながら東宮様には未だ御子がお一人もおいでにならず、世間でも何となく不安に思っているようです。
つきましては、東宮様以来実に十七年ぶりに帝の御子を産み奉った女御の同母妹を東宮様に差し上げたく存じます。
つまらぬ者ではございますが、それでも御子さえお生まれになれば皆安堵致しましょう。」
右大臣家の弘徽殿女御様をこよなく御寵愛あそばす東宮様は、最後までお首を縦には振られなかったようですが、半ば強引に中君の入内が決まりました。
しかし右大臣派が反発し東宮様も庇ってはくださらなかった為、尚侍という低すぎる御身分での入内です。
宮様は、御子を産むという為だけに尚侍に下げてまで中君を入内させる事をいたくお嘆きになり、本当にお珍しく殿に異見を立てられました。
しかし殿は「きちんと後見するから心配無い」の一点張りで、宮様は不安を押し殺して中君を送り出されたのでございます。

