「み、宮様!!」 慌てて止めようとする男を無視して、庭を突っ切って右近が居る所に向かった。 「右近。 紅葉の君は、こちらにいらっしゃるのか?」 「は…はい。 中に、確かにいらっしゃいます。」 右近の言葉に頷いて、上がろうとすると、 「宮様、困ります!」 と、先程の男が泣きそうな声で呼び掛けた。 何が何でも西の対まで案内するよう言われていたのだろう。 「事の次第を、主に話しておけ。 そなたに不備は無かった。」 そう言いおいて、階を上がった。