それまでだって恋しいとお慕いしていた筈ですのに、引っ越しの夜以来ますます宮様にお会いしたくて仕方がございません。 北の方をお訪ねの時、お車からお降りになる宮様が少しだけ見えます。 その一瞬にも、宮様は必ずこの部屋の辺りにお目を遣ってくださるのです。 きっと今は、宮様は私を愛してくださっている。 でも…私などより遥かに立派な御身分で、美貌の噂の中の君にいつお心を移しておしまいになるかと不安なのです。