驚いて、仲介役を勤めてくれた供の者…時明(トキアキ)を呼んだ。 「時明、そなた、あの姫君の家は知っているか。」 「え? いえ、存じません。」 驚いたようにしているが、不首尾だと責める事は出来ないだろう。 これまで関係した女達は皆自分から連絡を取りたい言って来て困らなかったから、時明などの役目は最初の一晩までで済んでいたのだ。 急いで時明に様子を見に行かせるが、時明が着いた時にはもうもぬけの殻だった。 私は、紅葉の姫君との連絡手段を失ってしまったのだ。 ***