平安物語=短編集=【完】

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現実の事とも思えない体験をして、私は呆然とするばかりです。

段々女房達が起きて来ますが、何だか気恥ずかしくて御帳台に籠もっておりました。

そんな私を見た侍従が、

「昨日のお疲れが残っていらっしゃるのでしょう。
もう今日には帰りますから、お家でゆっくりできますよ。」

と言います。


「「えっ……」」

同時に、私と右近が声を発しました。


「ええ、急な事で申し訳ございません。
実は北の方がこの事をお聞きつけになって、『若い姫君の身で、軽々しい遊山なんてとんでもない。』と仰っているようなのです。」

苛々とした口調で言いながら、帰りの支度を始めます。


あの方は今夜もいらっしゃると言っていらしたのに、困ったわ。

そうは言ってもそんな事を説明する訳にもいきませんし、北の方にイヤミを言われるのも辛いことです。

溜め息をつきながら、黙っておりました。