平安物語=短編集=【完】




ある日の夕方、いつも通り御看病に上がっておりました。

もうものを仰るのも辛そうで、縁起が悪いと分かっていながらもつい涙が零れます。


「お願いがあるの…」

急いで近寄って、微かな声を発するお口元に耳を近付けました。


「私が儚くなった後は…姫を…」

「嫌っ!
そんなお話は聞きたくありません。
姉上に何かあれば、私も後を追います!」

ついに涙を堪えきれなくなってしまいました。

姉上は、悲しそうなお顔をなさいます。

お袖に縋って泣くと、重い重いお腕を持ち上げて、幼い頃のように私の髪を撫でてくださいました。