平安物語=短編集=【完】




御病状は一進一退といった感じで、正月を迎えてしまいました。

着飾った御子達が枕元に集まり、華やかな雰囲気が漂いました。


「女御さまも、お餅を召し上がればお元気になるのに。」

太郎君が無邪気に仰ると、三歳におなりあそばした雪花の宮が、ちょこちょことどこかへ行かれました。

お年を重ねる毎にお可愛らしく育ってゆかれます。


しばらくして帰っていらしたと思うと、小さなお手に、お餅の乗った器を持っていらっしゃいました。

「お母さま、食べて?
お母さまがお元気にならないと、宮は悲しい…」

うるうると瞳を揺らして仰るので、少し無理をして起きられました。


「じゃあ、頂こうかしら。」

そう仰って申し訳程度にお餅を口に含んで、にっこりと姫宮に微笑みかけられます。

姫宮も、本当に嬉しそうお笑いになりました。