平安物語=短編集=【完】




その後、遂に噂が私の耳にも達しました。

この頃父上が、たまにお忍びで出かけられると言うのです。

本当に念を入れて忍んでいらっしゃるためこの噂は我が一族にしか知られておらず、その私達でも相手の女性が見当もつかないという程です。


しかし、あの父上を丸くしてしまったのがその女性だとしたら、本当にお見事なことです。

どんな方かは存じませんが、そんな隠せるような方なのでしたら、まさか母上の立場を脅かすような身分の方ではないのでしょう。


私も姉上も、気になりながらも、とりあえず放置しておこうという結論に至りました。