平安物語=短編集=【完】




年が明け――夏の始まりの頃から、何か違和感を感じるようになりました。

父上が、丸くなったというか落ち着きが無くなったというか…人間味を帯びるようになったのです。

しかしこれと言った話も聞かず、四十八歳の父上も、遂にご老体の域に入ってしまったのかなどと思っておりました。


そうしているうちに、右大臣邸の椿の上が、男君をお産みになりました。

一人息子で、跡継ぎとなる若君です。

やんややんやとお祝いの雰囲気に満ちて、穏やかな頃でした。

そのお祝いに、父上が渋る事無く参加なさったのも驚きなのですが。