そうこうしているうちに、右大臣様が北の方をお迎えになりました。
弘徽殿様をお産みになった北の方・春雨の上が亡くなられて二十年以上もの間独身でいらっしゃったと伺っておりますのに、驚きました。
しかも、御懐妊中とのことです。
立后の件で持ち切りだった世間も突然のおめでたいお話に気持ちをやって、政界第二位の右大臣様に何とか好意を示そうと必死になっています。
そのお方がお車で右大臣邸にお着きになると右大臣様が自ら抱き降ろして差し上げたとかで、世間がその方を重んじる事も並一通りではありません。
その時に右大臣様が椿の花を一枝差し上げたとかで、その方を椿の上と申し上げます。

