そして、突然譲位がありました。 誰もが油断していたであろう何でもない日のことです。 帝の御前を下がって私を訪ねてくださっていた父上は、知らせを受け、顔色を変えて立ち去って行かれました。 小さく舌打ちしたのは、私にしか聞こえなかったことを祈ります。 帝は、父上をこの上なく重用してくださっていましたから、譲位となれば何かしら喜ばしくないのでしょう。 女房達もざわついていましたが、ここは東宮様の妃の御殿。 若干喜びの色が見えるのを、諫めることは出来ないでしょう。