その夜、お召しがありました。 姫が眠ってしまったのだそうです。 弘徽殿の御前を通りますのにご挨拶をした方が良いのかなど考えましたが、お召しを受けての道すがらですからと思い直して、いつものように素通りすることにしました。 そして弘徽殿を通過している時、 「もし…」 と、御簾の中から呼びかけられました。 少し驚いて足を止めると、私の所の女房が 「お方様はお先にお行きくださいませ。」 と言って促すので、何だろうかと気になりましたが、その女房一人を残して先に進みました。