平安物語=短編集=【完】




参内し梅壺に参りまして、驚きました。

もう夏だと言うのに、美しく梅の花が咲き誇っているのです。

女童に一枝手折りに行かせると、困ったように戻って参りました。

「御息所さま、あの梅は偽物でございます。」


その時、何の前触れも無く東宮様が入っていらっしゃいました。

驚き慌てる私達にお構いなく、

「立派なものでしょう。
梅壺に入られたからには、是非姫宮に梅を見せて差し上げたくてね。」

と仰いました。