『時経れば劣る花をば思ひやれ
盛りにあはば身こそ辛けれ
(天皇家の血筋とは言いましても、時代を経るうちにどんどん劣ってまいりました。
そんな私を、哀れなとお思いください。
今上帝の妹君という、ご立派なあなた様のお目にかかったりなどしましたら、この身のみすぼらしさが際立ってしまいましょう。)』
なんとか上手くやっていきたいと、とにかく謙虚に遜ったお手紙を差し上げました。
その夜も、大臣はお越しくださいました。
大臣に抱かれながら、ふと北の方のお優しいお手紙を思い出します。
事が済んでから、
「今日は、北の方様からお優しいお手紙を頂きまして…」
とお話しすると、そのお手紙を勝手にご覧になって
「本当に、あの方は気にしてはいらっしゃらないのです。
たまにあちらを訪ねるのも良いのではありませんか?
あなたのことですから、あまり人目につくようなことはなさらないと期待していますよ。」
と仰いました。
人目につかずにお訪ねするなんて、女房の格に身を落とせということではありませんか。
目の奥が痛くなりましたが、目を伏せて
「考えてみます。」
とだけ申し上げました。

