平安物語=短編集=【完】




翌日、北の方や二人の姫君にご挨拶するべきかどうか、一人悩んでいました。

引っ越して来た妾の分際としては、当然お手紙くらいは差し上げるべきでしょう。

しかしどう書いたら良いものか、まるで分からないのです。


すると、

「御方様、北の御方からお手紙が。」

と声をかけられました。

急いで受け取って見てみると、

『音にのみ聞くもわびしき
たづぬれば同じき本のゆかしき花を

(血筋を辿れば同じ天皇家にあたるあなたに、ぜひお会いしたいものですわ。
お噂だけ伺うのも、悲しくて。)』

と、いかにも控えめで優美な字で書かれてありました。