そんな日々が続いたある日、ご病気であった太政大臣…大納言様のお父上が病で亡くなられました。
すると帝のご意向で、速やかに大納言様が内大臣にご昇進なさいました。
めまぐるしい変化に驚いていると、内大臣様がお忍びでお越しになりました。
愛の疲れにくたびれている私に、内大臣様は
「ご存知でしょうが、この度私は内大臣になりました。
私自身はまだまだ未熟ではあるのですが、何しろ大臣の身分ではこれまでのようにこちらに伺うのも一層難しくなってしまいました。
そこでご相談なのですが、どうか我が屋敷にお移り頂けませんでしょうか。
北の方は居りますが、何しろ穏やかな性格の人なのでご心配には及びません。」
と仰いました。
突然のことに驚いてはかばかしいお返事も出来ないでおりますうちに、お帰りになる時間となってしまいました。
「もう一度お伺いできるか、分かりません。
お返事を考えておいてください。」
と仰って、まだ暗い中を、一度も振り返らずに帰って行かれました。

