―…やっと意識がはっきりした時、私は我が家にいました。 「帰りなさい。」と帝に言われてあの局を出た後、渡殿で妹に再会し、そのまま中宮様の御殿へ帰って、なんやかんや支度をして内裏から下がって参ったのです。 私はあの幻のような一時の衝撃から逃れられず、魂が抜けたようになっておりました。