―― それから一ヶ月弱して、宮様がお里へお帰りになる日がやって来ました。 宮様が、御両親とのお別れをとても悲しく思っていらっしゃるのがいじらしいので、中宮様も御一緒にと仰せになりましたが、 「一の宮が帰ってしまうだけでもとても寂しいのに、あなたまで帰ってしまわれるなんてあまりに薄情ではありませんか。」 と帝がお恨みになりましたので、やはり宮様お一人の御退出となります。 お里では右大臣様がお迎えの支度をしていらして、お待ちかねです。