平安物語=短編集=【完】




間もなくして、宴が始まりました。

歌や踊りや演奏が繰り広げられ、帝の御前にいらっしゃる貴族の方々もほろ酔いになっていらした頃、本日の目玉、左大臣様の御長男が舞い出ていらっしゃらいました。

桜の花びらがはらはらと散りかかる中で、御年八歳の若君がとてもお上手に舞われます。

お顔立ちもお父君に似てすっきりと美しく、幼子らしい可愛らしさも兼ね備えていらっしゃらいます。


舞い終わって帝の方にお辞儀をなさると、帝が御褒美にお召し物をお下しになりました。

それを受けてまた拝舞なさるお姿は、なんという美しさでしょう。


何気なく御子達の方を拝してみますと、男御子達がにこにこと喜んでいらっしゃる奥で、女二の宮がほんのりと頬を染めていらっしゃいました。

この女二の宮は、先ほど舞われた若君と同い年でいらっしゃいます。

大人びていらっしゃるだけあって、もう幼い恋を抱かれているのかと思いやられ、とても微笑ましい御様子です。