お分かりくださったのかと安堵して帝を見上げた瞬間、唇に温かく柔らかなものがあたりました。 驚いて目を見開くと、帝の伏せた長いまつげだけが目に映りました。 ゆっくりと離れて帝と視線が絡み合い、私はただただ呆然としておりました。 「渡さない。」 そう仰る帝の低いお声が、やけに耳に響きました。