平安物語=短編集=【完】




会話に花を咲かせていると、ひょっこりと二の宮がいらっしゃいました。

「姉宮、兄宮、」

嬉しそうにお二宮に駆け寄って、遊んでくれとばかりに纏わりつかれます。

さっと中宮様が御几帳を動かすと、麗景殿の母子が御到着になったところでした。

こちらは紅梅襲をお召しです。


いつも奥ゆかしい女二の宮ですが、このように御兄弟が集まった御席はさすがに嬉しいのでしょう、すぐにこちらへいらっしゃいました。


「お姉様。」

女二の宮が姉宮のお隣にちょこんとお座りになりますと、姉宮はとても嬉しそうににっこりと微笑みかけられました。

姉宮よりずっと大人びていらっしゃると思っておりました女二の宮でしたが、姉宮のお側に参られると、妹らしくおっとりと甘えていらっしゃいます。

この御姉妹を並べて拝すると、やはり帝譲りの似たところがおありなのでした。

女二の宮を驚くばかりにお美しいと思っておりましたが、女一の宮も、負けず劣らずお可愛らしい御様子です。