「それにしても女二の宮は、畏れ多いほどにお可愛らしくていらっしゃったこと。
お人柄も皇女らしく優雅で、生い先が本当に楽しみな御様子でした。
ああいったお方こそ后の位にもお就きになるべきですのに、東宮が義理の弟というのは何とも残念なことです。」
「ごもっともです。
あの姫宮は、きっと類い希なお美しさにお育ちになりましょう。
まだまだ先のことではございますが、こちらの宮様のお妃にはどちらの姫君が入内されるのでございしょうか。
朱雀院の姫宮や、中宮様の妹君、右大将様の姫君などがちょうど良いお年でいらっしゃいますけれど。」
「さあどうでしょう。
我が家の中君と右大将殿の姫君は見慣れてもいるけれど、どちらもまだまだ幼くて。
朱雀院の姫宮も、うちの中君と同い年でいらしたでしょう。
内親王は独身を貫くのが良いとの意見もありますしね。
まだ幼い東宮には、二三歳年上の姫君がお世話役として入内するのが良いと言いますけれど、適当なお年の方がいらしたかしら。」
そんな気の早いお喋りに花を咲かせているうちに、日も暮れけてしまっていました。
帝からお召しを受けた中宮様は、宮様のことを私に頼まれて御寝所へと向かわれます。
宮様が目を覚まされたら、お母君の御不在に御機嫌を損ねてしまわれるだろうと、一人苦笑しながら宮様のお側に居りました。

