平安物語=短編集=【完】




「お久しぶりです。」

宮様がにっこりとご挨拶なさいますと、先程までのよそよそしさはどこへやら、女一の宮も

「お久しぶりです。

もっと近くへいらしてくださいな。」

と仰います。

まだいかにも子供っぽい宮様なので、御心もお許しになるのでしょう。

宮様をお側近くに置かれて、姉君らしくあれこれとお話しなさるのでした。

宮様も、とてもおっとりとしてお優しい女一の宮に懐いていらっしゃいますので、嬉しそうににこにこなさいます。


「私は男御子を授からなかったので、こんな風に御姉弟で仲良くなさっているのを拝見しますのが嬉しくて。」

と、更衣様が私に話しかけてくださいました。


「今上帝の御子達は皆様仲がおよろしくていらっしゃいますので、同腹の御兄弟がいらっしゃらない一の宮も嬉しく思っていらっしゃいます。

それもひとえに、御母君のお三方のお志ゆえと存じます。」

とお返事申し上げますと、

「本当に。

中宮様も皇后様も、人数に入らぬ私にも良くしてくださいまして。

有り難いことと存じております。」

と、穏やかに仰いました。