平安物語=短編集=【完】




日が昇って宮様がお目覚めになると、梅壺へ行きたいと騒がれます。

昨日のうちにお訪ねしたい由をお伝えしてありましたので、日が高くなってから、行かれます。

仰々しくなってしまうからと中宮様はご遠慮なさり、私や他に十数名の女房がお付きして参りました。


季節はちょうど春の始まりなので、梅壺の梅が香り高く咲き誇っているのも見事です。

私がご挨拶申し上げるのもお待ちにならず、宮様は御簾をくぐってしまわれます。

本当に申し訳なく恥ずかしく思うのですが、梅壺の方々は、クスクスと微笑ましそうに笑って許してくださいます。

しかし、もっときちんとご指導申し上げなくてはと思いました。