「ほら、宮様。 じっとしていてくださいませんと、綺麗にお支度が整いません。 お母上様に笑われてしまいますよ。」 私がそう諫めると、 「いやじゃ、じっとしているから綺麗にしてくりゃ。」 と、直立不動になられます。 いかにもお可愛らしいこの宮様は、帝と弘徽殿中宮の間に生まれた、東宮です。 私は、この宮様の乳母を務めております。