平安物語=短編集=【完】




「あなたは…?」

そう問いかけられましたが、袖で顔を覆ってただただ押し黙っていました。


「ただの女房には感じられませんね。

もしかして、中宮のところの…」

そう言われて、この方が帝なのだと気付きました。

畏れ多く、恥ずかしく、困りきってしまって、私はつきに泣き出しました。