叔母中宮の御殿は、帝のおわします清涼殿にほど近い藤壺(飛香舎)でした。 「せっかくですもの、清涼殿へ行ってみとうございます。」 そんな妹の言葉を、最初はとんでもない事とたしなめたものの、自分の心に潜む好奇心と妹の熱意に負け、女房と女童のふりをして清涼殿へと向かったのでした。