「今夜は、ここに泊まっても良いですか?」 私がそう言うと、お母様はふふっと笑って 「それはとても嬉しいけれど、でもほら、中将様のおいでになる先払いの声が聞こえるでしょう?」 と仰るので耳を澄ましてみると、確かに義道様の従者の先払いの声が微かに聞こえてきました。 「お会いして、きちんとお答えしなければなりませんよ。 中将様だって不安でいらっしゃる筈だということを忘れてはいけません。」 「はい…お母様。」 優しく微笑むお母様に、私もにっこりと笑い返して、お母様のお部屋を出て行きました。