平安物語=短編集=【完】




「もう…大丈夫です。」

落ち着いてそう言うと、中将様はゆっくりと体を離して私の顔を見下ろします。


「すみませんでした…。」

再度そう謝る御表情は、叱られた子供のように不安げで、心から許しを請うていらっしゃいました。

私はにっこりと微笑んで、

「許して差し上げますわ。」

と言いました。