平安物語=短編集=【完】




「では…」

と言って、少将が義母上の方へ近寄って手を差し伸べた時、ちらりと私の方を横目で見て、目が合ってしまいました。

ぱっと扇で顔を隠しましたが、なおも視線を感じます。


「参りましょうか。」

ぴしゃりと義母上が仰って、少将はハッと我に帰ったように義母上のお手を取って部屋を出て行きました。