平安物語=短編集=【完】




私が答えに詰まっていると、乳母は席を立って行ってしまいました。

大輔と二人きりになってしまい妙な気まずさに押し黙っていると、不意に

「姫様は、今宵も中将様においで頂きたいとお思いになりますか?」

と問われました。

「とんでもない、昨夜のことは忘れます。

こんなつれない態度を取れば、中将様も自然と嫌気がさしましょう。

他にも御方々がいらっしゃるのですから、すぐにお忘れになります。」


そうまくし立てながら何となく胸が締め付けられ感じがしました…が、きっと生まれて初めて、あんなに近くに寄られた殿方だから、何となく情がわくのだろうと思います。