平安物語=短編集=【完】




「お帰りください。

誰にも気付かれないうちに。」


威厳を保つよう努めましたが、微かに声が震えました。

中将様はますます怪訝そうな顔をしています。


「…そんなに私が嫌なのですか?」


――当たり前じゃない!!!


カッとなりそうなのを必死で抑えて、

「寝込みを襲うような方を好む女なんて居りましょうか。」

と睨みました。