女房がそう言うやいなや、歩いて来る人の気配を感じました。 ――何てこと!! 院がお忍びで…なんて、容易ではないでしょうに。 それにまだ支度が…。 重い体を起こして身支度を整えようとするのも甲斐なく、御帳台の帳がめくられました。 「宮…。」 ――院………