平安物語=短編集=【完】




宴もたけなわとなった頃、帝が

「宮、今宵は清涼殿に。」

と囁きました。

一瞬ぱあっと嬉しく思ったのですが、はたと思い直しました。

帝は、この若く美しい女御と比べられた私を哀れみ、お情けをかけてくださろうとしているのかもしれない…。

ちらっと女御の方を見ると、今にも泣き出しそうな顔をして席を立ちました。


泣きたいのは、私よ…