平安物語=短編集=【完】




「大君のこと、聞いたのですね?」

私は黙っていました。

「どうか、愚かで浮気な男の気まぐれと思って、受け流してください。

ずっとあなたを大切にしてきた私の誠意は、もうお分かりのはずです。」

「…。」

「宮…。」


帝のお声から、哀れみの色を感じ取りました。

三十を越えて他の女に圧倒される、哀れな后と思っていらっしゃるのでしょうか。

自分の誇りを守るため、私は初めて、帝に作り笑顔を見せました。