その夜は、帝はどの妃もお召しになりませんでした。 こういう事は珍しくもありません。 愛してもいない女達を毎晩毎晩抱くのは、きっとお辛いのでしょう。 しかしその日は、名月の夜。 その月を誰とでもなく一人で眺めることになさったことこそ、帝が我らを愛していない証でしょう。