「女といいましてもまだほんの5歳。子供でございます。」


「子供は特に好きにはなれん。」



殿は女子供関係なく人間嫌いが欠点だ。


でもきっと紫衣なら殿のお側で殿を癒してくれるはず...。


あの娘の笑顔に俺が救われたように殿の固いお心も紫衣ならほぐすことが出来るかもしれない。



「殿、左近最初で最後のお願いでございます。紫衣と逢ってやってください。」



ただひたすら頼むしかなかった。


逢えばわかる。


そう信じるしかなかった。



あたたかい紫衣との時間を心地よいと思った俺の心を信じてほしかった。




「殿、なにとぞ....。」









「もうよい、わかった。」





そう言い放ち立ち上がる殿。



俺は殿の後を追うようにして立ち上がった。



今日から紫衣は新しい世界で羽ばたくのだ。



殿と一緒に.....。



俺はお二人をずっと見守っていきたい。