とうとう紫衣と殿を逢わせる日が来た。
紫衣を養女にして殿と紫衣の対面を焦る必要がなくなったという思いからまずは紫衣に必要な知識をつけねばならない。
そう思った俺は紫衣に生活に必要な知識を一通り教え込んだ。
元々心は18歳の紫衣は飲み込みも早く、なんでもすぐに覚えてくれて助かった。
身の回りのことを全て覚えた頃、城からの使いが来たんだ。
殿が上杉との同盟の件で秀吉様のお供で城を空けられることになり俺に城に戻るようにとの事だった。
殿の出立は二日後、紫衣と殿を引き合わすには調度いい機会になりそうだ。
もちろん紫衣には何も話してはいない。
殿との対面も俺の思惑も何も知らずにただ純粋に俺を慕ってくれている。
紫衣にはとてつもない価値がある。
紫衣自身その価値に全く気付いてもいない。
天下を握る力、その強大な力を俺は今自分の手中に収めているのだ。
紫衣を立派な娘に育て、殿に献上する。
それが今の俺の使命。
まだ幼い紫衣を大切に育て上げることも俺の使命。
紫衣は精神も頭も成長したまま体だけが幼子のようになった。
だからなのか5歳の娘にしては色気もある。
時折見せる仕草や動作にも艶があるのだ。
誰の目にも触れさせずに育てなければ、いつ邪な輩に連れて行かれるかと俺はずっと心配していた。
片時も紫衣から目を離さず、殿からもお怒りの書状が届くほどだった。
しかし、それも今日で終わり。
殿に引き合わせれば俺の役目も終わりになる。


