所々しか聞こえない二人の会話。
私の耳が反応したのは桔梗さんが最後に言った言葉で、だけど『殿が』とだけしか聞き取れなかった。
三成がどうかしたの?
もしかして、彼の怒りがまだ治まらず、紅葉さんと一緒にいることを許してくれないの?
とてもマイナス思考な考えだって思うけど、あの時の三成の怒りと冷たさを思い出すと、悪い方向にしか考えられないよ。
「桔梗さん、三成はなんて言ったの?」
気になりだすと止まらなくて、思わず桔梗さんに尋ねた。
「姫様!何度同じ事を言わせるのですか!
三成様です。み・つ・な・り・さ・ま!!」
跳ね上がるような勢いで姿勢を正して桔梗さんは私に言葉を返す。
「あー…、始まった。
桔梗のお小言が…。」
紅葉さんは桔梗さんをうんざりとした表情で見つめて言葉を落とした。
「だいたいあなた様は…」
くどくどとお小言タイムが始まる予感に私は、
「わかった!桔梗さん、ごめんなさい。
だから、この話はおいまい!」
慌てて阻止しようと思い、言葉を掛ける。
あまりの勢いに押されたのか桔梗さんは私の言葉に反応して黙り込んでしまった。
成功した?
桔梗さんが言葉を失うなんて、私もやれば出来るんじゃないかな?
内心ちょっぴり誇らしかった。
「紫衣もなかなかやるな。
桔梗の小言を止めるなんてな!」
くすくすと笑いながら紅葉さんも言葉を落とす。
固かった紅葉さんの表情も口調普段通りに戻っていて、私も一緒に笑ったんだ。


