赤ちゃんが出来たこと、とっても嬉しかった。
だから病気じゃないからなんて言い訳をして部屋を抜け出そうなんて思ったんだ。
浮かれすぎて、自分の体のことを考えてなかったんだ。
「私が全部悪いんです。」
本当にバカな私。
優しい三成をこんなにも怒らせてまで盗み見する必要なんてなかったよね。
それに紅葉さんにまで迷惑かけて、何がしたかったんだろう…。
私は座ったままズリズリと移動して三成の着物の裾にしがみついた。
「言い付けを守れなかったのは何故だ。」
「あなたを見たかったの。」
「俺はすぐに戻ると言ったはずだ。」
「はい。けれど、あなたが左近さん達にどんな風に話すのかを見たかったんです。」
私の言葉を理解できないのか三成は眉間の皺を更に深くした。
「殿、女心をもっと勉強せねばなりませんね。」
訝しげな表情の三成に軽く言葉を掛ける左近さん。
「なに!」
全員が三成の怒りに萎縮した重い空気が一層ピリピリとした。
怒りの矛先が左近さんに変わってはいけない。
私はとっさに口を挟んだ。
「今回のことは私の子供じみた考えが招いた事態です。誰も悪くないんです。全部私が悪いんです。」
涙を流すのは卑怯だ。
ここで泣いてはいけない。
唇をキュッと結んで涙を堪えた。
「紫衣、黙りなさい。」
だけど左近さんは珍しく三成に対して好戦的で、私を黙らせる。
「左近、何が言いたいのだ。」
「殿が紫衣の気持ちをわかってやってないと言ったのです。」


