「それにしても、城にいる時から具合が悪かったと言うではないか。
どうして何も言わなかったのだ。」
あれ?
あれれ?
さっきまでの甘い雰囲気をかき消すような三成の言葉に私は目を見開いて彼の表情を伺い見た。
寄せられた眉。
眉間に刻まれた深い皺。
何故だか急に不機嫌モード?
「あの…」
「おまけに馬になど乗って大阪まで来るとは、何かあったらどうするのだ!」
「だって…。」
それは三成が手紙をくれたから…。
「紫衣が体調が悪いなどと聞いてはなかったのだ。知っていればここに呼び寄せるなど考えなかった。」
それは困る。
「だったら黙っていて正解です。」
「何を言う?!」
「だってあなたに逢えなかったんでしょ。
具合が悪いと言っていたら赤ちゃんが出来たことも一緒に喜べなかったんでしょ?」
だから言わなくて良かったって話す私に三成は観念したように眉を下げた。
「何もなくて良かった。」
大きく息を吐き出しながら話す三成。
私の手を握りながら本当にホッとしたように言葉を紡ぐ。
「この子はきっと強い男の子です。
だから元気に生まれてきます。」
「そうだな。
紫衣と俺の子供だ。」
満足したように話す三成の手をぎゅっと握り返す。
彼も私の手を力強く握り返してくれた。


