「そうだな。それでは隣の部屋で待つ。朱里。」
三成は納得したのかあっさりとした口調で話すと朱理さんに声を掛けて部屋を出て行った。
部屋に残されたのは斗庵さんと私、それに斗庵の荷物を持ってきた男の人だった。
「この者は私の弟子の凌庵。弟子であり私の息子です。」
斗庵さんに紹介され、凌庵さんは頭を下げて挨拶をしてくれた。
「凌庵です。」
柔らかい斗庵さんとは正反対の愛想のない凌庵さん。
ちょっぴり怖い印象を受けた。
「愛想のない奴ですが今では弟子といいよりは私より見立てが良いと評判が良いのですよ。」
「私は紫衣です。今日はご足労いただいて申し訳ありませんがよろしくお願いします。」
私もゆっくりと体を起こし、頭を下げて挨拶をした。
起きあがると胸がムカムカと気分が悪くなる。
体がとても怠くて座るのもつらい。
「病人は寝てろ。」
私の肩を柔らかく押しながら布団に寝るように言ったのは凌庵さんで、
「ごめんなさい。」
怒ったような口調の凌庵さんに私は謝るしかなかった。
「これ!凌庵。
本当に口が悪くて申し訳ありません。」
萎縮する私に斗庵さんは謝ってくれる。
だけど起きあがるなと言われたのに起きあがったのだから怒られるのは当然で、
「いいえ、私が悪いんです。」
私も言葉を返した。
「ではまずはお話を聞かせて頂きましょうか。」


