三成も着物を着替えていた。
普段から華美な着物を着る人ではないが、なんだかいつもよりも地味な着物を着ていて、だけどとても似合っていた。
「準備は整ったのか?」
「はい。皆、もう外で殿をお待ちです。」
三成は朱理さんの言葉に反応し、私の手を取って部屋を出た。
そしてみんなが待つ屋敷の門まで行くと、ひょいと私を持ち上げ、馬に乗せる。
「出立だ。」
馬の腹を一蹴りしながら三成が号令のように声を掛け、屋敷を後にした。
だけど、左近さんと桔梗さん、それに椿さんの姿が見えないよ?
「これで全員ですか?」
不思議に思って三成に尋ねると、
「左近達は紫衣の希望を叶えるために先に出立した。」
「え?」
「握り飯をもってきたのであろう?」
「そのために?」
私の我儘を叶えるために左近さん達に迷惑掛けちゃったんだ。
シュンと肩を落とす私に三成はくすくすと笑いながら話してくれた。
「そなたが気に病むことはない。
言ったであろう?
そなたは人気者だと、左近もそなたの提案に乗り気でな。
どうせなら景色の良い場所でと準備の為に先に出たのだ。」
「そう…なのですか?」
「そなたは不思議な娘だ。
皆がそなたといると、とても楽しそうに笑っている。」
馬を操りながら片手で私のお腹に手を添えてギュッと抱きしめられた。
暖かい日差しに照らされて、馬は走る。
爽やかな風が心地いい。
「とても幸せです。」
三成に体を預けて、私はポツリと呟いた。


