「すまなかったね、紫衣。」
「?」
「紫衣の気持ちを試したんだ。」
暗い表情の左近さん。
私を試す?
「左近様を悪く思わないで欲しい。
それに殿も…。
殿は紅葉と桔梗に押さえてもらってたんだ。
紫衣を信用してないわけじゃない。
だけど、万が一を考えると試さずにいられなかっただよ。
殿は紫衣をとても大切に想っているからね。」
苦しそうに話してくれる朱里さん。
私を抱きしめる三成の腕に力が入った。
「安心して下さい。
私は自信があります。
三成様が私を想ってくれている以上に私は三成様を大切に想っています。離れては生きていけません。
死んでも繋がっていたいと思える人と出逢えて私はとっても幸せなんです。」
私も三成の背中に腕を回してギュッと抱きついた。
「もうよい。」
三成の言葉はとても穏やかで、もういいって言ってる彼の言葉の意味はわからないけど耳に優しく響く声が心地よかった。
「殿、無礼を承知で忠告いたします。
紫衣を一日も早く懐妊させて下さい。」
だけど左近さんは三成に食い下がるように話し掛け、
「わかっておる!」
三成も少し不機嫌に左近さんに応えた。
懐妊?
解任?
この場合どっち?
奥方を解任?
それは承諾したくない。
だけど、一緒にいるための解任なら仕方ない。
もう一つの懐妊は…
ボンっと音が鳴りそうなくらい一気に顔が赤くなった。
「耳まで真っ赤…。」
「阿呆紫衣の事だから解任と懐妊、どっちか考えてたんだろぅよ。」
「それで懐妊にいきついて照れてるのか?」
「そういうこと!」
「さすが紅葉、今まで姫に仕えてただけのことはある。」
「桔梗も慣れればすぐにわかるようになるぞ。
なにせ、阿呆で単純だからな。
わかりやすいんだ。」
「そうか、それは楽しみだ。
姫に仕えるのが楽しみになった。」
三成の胸に恥ずかしさの余り顔を埋めている私の耳にごにょごょと話す紅葉さんと桔梗さんの会話が耳に入り、それが図星だったから益々恥ずかしくなった。


