紅葉さんのお陰だね。
部屋の空気が一気に和んだ気がした。
「冷める前に頂きましょうか。」
朱里さんの声で六人の食事が始まった。
「残さずに食べましょうね。」
緊張と興奮でなかなか箸が進まない私に朱里さんは話しかける。
「なんだか胸がいっぱいで食欲がわかないよ。」
胸を押さえながら置いていた箸を手にして応えると、
「お菓子は別腹なのに?」
紅葉さんの意地悪な言葉が落とされる。
だけど、当たってるから言い返す言葉もなく、
ご飯を口に運んだ。
もそもそと食事を進める私を見て三成は、
「紫衣、城でも食が細かったと聞いているが、どこか具合がわるいのか?」
心配そうに沈んだ表情で話しかけた。
「元気です、とっても…
ただ、食欲があまりなかっただけで、具合が悪いとかじゃないんです。」
安心して下さいって微笑みながら話す私を見て紅葉さんはケラケラと笑い出した。
「紫衣が食欲なかったのは殿と離れて寂しかったからだろ?
どうして、ちゃんと話せないかな?
阿呆紫衣は…」
恥ずかしくて言えなかった事をペラペラと暴露してくれた紅葉さん。
「そうなのか?」
パッと明るくなった三成の表情に私の頬は一気に熱を持ち、
「これ全部食べたら、美味しいお菓子を用意しますよ。」
朱里さんにまで追い討ちを掛けられ、食事どころじゃなかった。


