「全く人騒がせな子だよ!!いなくなったと思ったらお偉い様の馬で帰ってきたって言うじゃないか。いったいどこをほっつき歩いてたんだ?」
掛けられる言葉は強く、とても怖い。
あの小さな紫衣ちゃんはずっとこんな風にこの女の人から言われてきたの?
どんなに怖かったか...。
そんなことを考えると涙が溢れて瞳に溜まった。
「真衣...いい加減そんな口調で紫衣を攻めるのはやめろ。紫衣だってきっと訳が解らず神隠しにあったんだ。人を騒がせようとしたんじゃない。」
長吉さんは私を庇うように抱いてその女の人に声を掛けた。
真衣と呼ばれた女の人は長吉さんのその言葉に私に対する嫌悪を強くその顔に浮かべていた。
「あんたは自分の本当に血の繋がった子供とその訳の解らない子供とどっちが大事なんだい?」
真衣さんは長吉さんの奥さん。
私が邪魔なんだよね。
皮肉にも同じ名前なんてとてもつらい。
良君と真衣ちゃんの気持ちを邪魔していたのも私。
ここでも長吉さんと真衣さんの邪魔になる存在なんて辛すぎるよ。


