振り返った私が見たものは、誰もいない部屋。
「紫衣、動くな。」
不機嫌そうな声を落とした三成が私をぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「三成様?」
離れていても、こんなに激しく体を寄せ合い私を束縛するのは初めてで、なんだかいつもと違う三成の様子に戸惑いを感じて、
「何かあったのですか?」
尋ねずにいられなかった。
「俺が何も気付いてないとでも思っているのか?」
だけど三成の落とす言葉の意味が私にはさっぱりわからなくて、
「何の事ですか?」
尋ねる私に三成は急に様子を変えて笑い出した。
どうしちゃったの?
私、何か失敗しちゃったのかな?
不機嫌ではなくなったけど、彼の急な変化に戸惑い不安を感じる私の額に落とされたのは三成の唇で、
「紫衣が紫衣のままなら大丈夫か…。」
やっぱりわからないことを呟いていた。
私を腕から解放して、微笑みを浮かべる三成の正面に座らされた私の瞳に映る三成の姿は妖艶で彼から視線を逸らした。
そんな私の顎を彼は長い指で持ち上げ顔を近づけてくる。
キスされる?
とっさ瞼を閉じる私。
だけど、降ってきたのは彼の唇ではなく、くすくすという笑い声だった。


